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開催レポート:Green Startup Pitch and Conference

March 24, 2021

環境分野のイノベーションを推進するため、2020年に環境省が創設しCIC Tokyoが事務局を務めた環境スタートアップ大賞の受賞者及びファイナリストが2月17日に発表されました。この環境スタートアップ大賞は大変多くの注目を集め81社のスタートアップが応募し、環境大臣賞には株式会社ピリカが、事業構想賞にはWOTA株式会社が選出されました。あわせて、ウミトロン 株式会社、株式会社ポーラスター・スペース、株式会社グリラス、株式会社エネファントがファイナリストとして選出されています。

この環境スタートアップ大賞の受賞式と、ピッチ・展示を兼ねたGreen Startup Pitch and Conferenceを3月17日にCIC Tokyoで開催しました。第一部のGreen Startup Pitchでは、環境スタートアップ大賞の環境大臣賞と事業構想賞の表彰や講評、パネルディスカッション等を、第二部のGreen Startup Conferenceでは、優秀な成績をおさめた環境系スタートアップによるピッチや40社の環境系スタートアップ・サポーターの展示会・マッチングを実施しました。当日は150名を超える来場者に加え、400名を超える方がオンラインで視聴されました。

【開催概要】

日時:2021年3月17日(水) 14:00-18:00
会場:CIC Tokyo(東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー15階)及びオンライン配信
参加費:無料
詳細URL: https://environmental-startups-2021.peatix.com/

【サポーター】
・森ビル株式会社・みずほ銀行・U3 Innovations合同会社・株式会社環境エネルギー投資・Energy Tech Meetup・GreenTech Labs・エネルギーテック勉強会・OECD東京センター・Venture Café Tokyo

第1部 Green Startup Pitch
冒頭、環境省の神谷大臣政務官がオンラインで出演し、開会の挨拶を行いました。2050年にカーボンニュートラル(二酸化炭素の正味排出量ゼロ)を目指していることと、その目標達成にしめるイノベーションの役割について述べられました。

続いて、環境スタートアップ大賞の事務局を務めたCIC Tokyoの名倉から環境スタートアップ大賞の募集や審査についての説明を行いました。環境スタートアップ大賞の趣旨や審査スケジュールの他、募集にあたって応募を非常に簡単にするなどスタートアップフレンドリーな募集・審査を行い80件を超える応募があったことなどを説明しました。

続いて、海外の取り組み事例として、今後10年で変化を起こし、私たちの地球環境を回復させることを目的に英国王室が2020年に新設した環境系の取り組みの表彰であるThe Earthshot Prizeの関係者よりスピーチとビデオメッセージがありました。The Earthshot Prizeの日本唯一のノミネーターであるPDIE(Purpose Driven Innovation Ecosystem) GroupのChristian Schmitz氏とThe Earthshot Prize評議員の山崎直子氏からThe Earthshot Prizeについての紹介や日本の取り組みに対する期待が述べられました。

環境スタートアップ大賞の事務局に参画し、審査のサポートもいただいたU3 Innovations合同会社の竹内純子氏より「環境スタートアップが社会を変える!」と題して今回の環境スタートアップ大賞の分析や、環境・エネルギー分野のスタートアップの課題をお話しいただきました。また、今回のような場について、環境スタートアップにアテンションを当て続けて人材・資金の流れを創出するプラットフォームとしての期待や環境スタートアップにおけるコミュニティの重要性についてもお話しいただきました。

今回、最も人気だったセッションの受賞者ピッチ。最初に環境大臣賞を受賞した株式会社ピリカ代表取締役の小嶌不二夫氏が登壇しました。ピリカは2011年に京都大学の研究室から生まれ、人類が生み出した最も大きな課題である環境問題を科学技術の力で解決することに挑戦しています。ごみ流出問題のプロフェッショナルとして、ごみの回収・調査に関する様々なサービスを開発し、多くの企業、自治体、国際機関、NPO等で採用されています。

事業構想賞を受賞したWOTA株式会社代表取締役社長CEOの前田 瑶介氏が登壇しました。WOTA株式会社は「誰でもどこでも水の自由を」をミッションに、「自律分散型水循環社会」の創造を目指す東京大学発のスタートアップです。AIを活用した自律分散型水循環システムにより、排水の98%以上を再利用し、限られた水量での水利用を可能にします。災害時や大自然の中でもシャワー入浴などの水利用を可能にするポータブル水再生処理プラント「WOTA BOX」や、水道のない場所に設置できる水循環型ポータブル手洗い機「WOSH」を開発しています。

そして受賞者2人に、今回の環境スタートアップ大賞の審査委員長を務められた株式会社ウィズグループ代表取締役の奥田浩美氏と環境省 大臣官房 総合政策課 環境研究技術室長 曽宮 和夫氏が加わり講評及びパネルディスカッションが行われました。奥田氏が審査委員会を代表して講評をされましたが、その中で環境問題について、「地球上の大きな問題として誰かがやってくれる」という時代から「地球上のすべての人の問題として身近なことに一人ひとりが取り組む」という時代に変化しており、受賞されたビジネスもそういった概念自体を拡げるものであったとのことでした。

第1部の最後に、表彰状の授与とあわせて、環境大臣の小泉進次郎氏がオンラインでWOTA株式会社の製品が災害現場でも使われているのを目にしたことや、世の中は環境がビジネスになり環境と経済が一つになった時代になっていること、そして環境スタートアップに対する期待を述べられました。

第2部 Green Startup Conference
2部のGreen Startup Conferenceはパネルディスカッション「環境スタートアップをサポートするコミュニティ・エコシステム構築にむけて」で幕をあけました。株式会社環境エネルギー投資 代表取締役社長の河村 修一郎氏、経済協力開発機構 (OECD) 東京センター所長の村上 由美子氏、経済産業省 産業技術環境局 環境政策課カーボンニュートラル実行計画企画推進室 室長補佐の簑原 悠太朗氏に加え、Venture Café Tokyo Program Manager 藤瀬 里紗氏がモデレーターとして登壇しました。

そして、環境スタートアップのピッチが7件行われました。以下が今回登壇したスタートアップで、いずれのスタートアップも環境スタートアップ大賞の審査において高く評価されたスタートアップです。うち、ウミトロン株式会社、株式会社グリラス、株式会社ポーラスター・スペース、株式会社エネファント / たじみ電力は特に高い評価をうけたファイナリストに選出されています。

  • (ファイナリスト)ウミトロン株式会社 リテール プロジェクト マーケットサクセス 村上 千賀子氏
  • (ファイナリスト) 株式会社グリラス 代表取締役CEO 渡邉 崇人氏
  • (ファイナリスト) 株式会社ポーラスター・スペース 代表取締役 中村 隆洋氏
  • (ファイナリスト)株式会社エネファント / たじみ電力 代表取締役 磯﨑 顕三氏
  • KAPOK JAPAN株式会社 代表取締役 深井 喜翔氏
  • ボトルト株式会社 代表取締役 飯田 百合子氏
  • AZUL Energy株式会社 代表取締役 伊藤 晃寿氏

このピッチセッションでは、以下の方々にコメンテーターを務めていただき、各スタートアップにコメントやアドバイスをいただきました。

  • U3 Innovations合同会社 創業者/共同代表 伊藤 剛氏
  • Eight Roads Ventures Japan シニアアソシエイト 公山 倫子氏
  • みずほ銀行 執行役員 イノベーション企業支援部長 大櫃 直人氏
  • 森ビル株式会社 営業本部 オフィス事業部 営業推進部 部長補佐 兼 営業推進グループ 課長 兼 企画推進部 部長補佐 兼 経営企画部 竹田 真二氏 

会の最後にはコメンテーターの森ビル株式会社の竹田氏と株式会社みずほ銀行の大櫃氏から、今後のスタートアップに対する支援をご発表いただきました。両社ともスタートアップとの連携の実績が多く、更なる前向きな支援を表明されていました。

これらのセッションと並行して、CIC Tokyo内部で環境系のスタートアップ40社が展示を出し、来場者と交流をしました。スタートアップによってはプロダクトを展示し、直接来場者に触っていただいていました。

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