開催レポート:米国ディープテックVCによるオープンイノベーションセミナー ディープテックイノベーションで世界一の都市である米国マサチューセッツ州に所在するベンチャーキャピタル、Rhapsody Venture Partnersと、株式会社Blessing、CIC Tokyoが共催でオープンイノベーションに関するイベントを開催しました
CICからのお知らせ

アメリカからリアルタイムでご登壇いただいたのは、マサチューセッツ工科大学で教鞭を執るイントレプレナーシップの専門家であるヴァル・リバダ(Val Livada)氏と、米国のディープテックスタートアップに投資するVC(ベンチャーキャピタル)のマイク・フエストマン(Mike Fuerstman)氏です。今回はお二人を講師に迎え、オープンイノベーション成功の秘訣についてお話ししていただきました。

本イベントにはオンラインで約90名の参加に加え、CIC Tokyo現地にも観覧者が集いました。
また、日英同時通訳を取り入れたことにより、英語が苦手な方でも参加できるイベントとなりました。

まずは、ヴァル・リバダ氏に、「イノベーション」の歴史的なトレンドについてお話いただきました。80年代には技術寄りに考えられていたイノベーションの概念が、今日では企業マネージメントやビジネスの融合においてもイノベーションが必須という考えに代わり、ビジネスのフォーカスも、80年代以降、ブランディングやプロジェクトマネージメントから、現代のオープンイノベーションへと推移したそうです。

長年イノベーションについて研究されてきたリバダ氏でも、イノベーションの構成は複雑だとし、「イノベーションを起こすための、確実な要素の答えは明確ではない」と仰いました。

ただし、テクノロジーが加速する今、技術の高さ、分析力、理解力は必須であるとのことです。

また、イノベーションを起こすためには、イノベーションエコシステムの構築が必要であり、CICのような「インキュベーター」の存在が不可欠であるとも述べられました。
リバダ氏によると、以下の3つの機関が、連携することによりイノベーションは起こりうるとのことです。

1、研究所(大学機関)
2、大企業
3、スタートアップ

CICをはじめ、インキュベーターと呼ばれる機関はこれらのプレイヤーを一つ屋根の下に集め、イノベーションを加速するのに大事な役割を担ってきたと仰いました。

また、プレイヤーに加え、インフラと資本が全体を支える大きな要素だそうです。

リバダ氏が在籍するMITやCICの本社が立地するマサチューセッツ州ケンブリッジには、米国でも最大級のイノベーションエコシステムが構築されています。ケンブリッジも昔からそのような街だったのではなく、長年かけて企業や大学の誘致を行い、テクノロジーの発展の波に乗りながら、現在の姿に至るそうです。長年ケンブリッジに暮らすリバダ氏は、街の発展を昔の写真を交えながらしながら説明してくださいました。

とても興味深いお話に、100名近くの参加者からは多くの質問が寄せられました。

「日本ではIPOでのEXITが多く、大企業へのバイアウトは少ないが、なぜ」「オープンイノベーションで失敗をしないためにはどうしたらいいか」など、なかなか聞くことができない質問についても、お答えいただきました。
また、スタートアップ側のマインドとして、大企業と働くときは、意思決定に長期間待たされることは日本だけでなく、世界で当たり前だとし、辛抱強く付き合うべきだと仰られました。

イベントの後半は、マイク・フエストマン氏には、日本企業向けに、アメリカにおけるオープンイノベーションの事例や企業向けのオープンイノベーションプログラムであるInnovation Partner Programについて説明をしていただきました。

具体的な事例として、日本の企業が関わっているイノベーション事業の事例や、過去に投資したスタートアップの事業内容などを紹介していただきました。
また、フエストマン氏は、スタートアップへのアドバイスとして、技術と資源を提供してくれるサプライヤーとうまく付き合う大切さをお話しされました。また、サプライヤーに対しても、将来を見据えて有望なスタートアップと早い段階から付き合うことが、大きなクライアントを掴む方法だと仰られました。

最後に、本イベントを企画した株式会社Blessing代表取締役中川氏より、参加者に向けて、どのようなサポートができるかお話しがありました。現CIC Tokyo入居者である株式会社Blessingは、ボストンに拠点を持つRhapsody Venture Partners社と提携して科学分野、産業分野の優良な技術系スタートアップとのオープンイノベーションを支援しています。海外のスタートアップと、オープンイノベーションを推進されたい方は、ぜひお問い合わせください。

スタートアップが日本で最も多く集積するCIC Tokyoでは、スタートアップと大企業の協業の協業を起こす環境を整えています。今回のようなイベントもこれからも多く企画しておりますので、是非CICに足をお運びください。