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【開催レポート】Japan Regional Reverse Pitch & Global Startup Showcase 〜日本各地の課題と世界の最先端技術が交差する国際共創イベント〜

May 15, 2026

2026年4月28日、CIC Tokyoにて「Japan Regional Reverse Pitch & Global Startup Showcase」が開催されました。本イベントは、日本各地域の自治体代表者と、世界中から集まった最先端の技術を持つ海外スタートアップを繋ぎ、地域ニーズとグローバル技術を接続することを目的とした日本各地の自治体と海外スタートアップが出会い、連携のきっかけを探るイベントとなりました。
本記事では、国内外のイノベーターが集い、熱気にあふれた当日の様子をレポートします。

イベント概要

本イベントは「SusHi Tech Tokyo 2026」の公式パートナーイベントとして開催されました。

  • 開催日:2026年4月28日(ハイブリッド開催:CIC Tokyoおよびオンライン)
  • 目的:国や地域を越えた連携を後押し
  • 使用言語:英語(日英同時通訳サービスあり)
  • 主催:CIC Tokyo
  • 共催:Innovators Platform Association、Venture Café Tokyo

イベントの流れ

イベントは、大きく2つのピッチセッションとネットワーキングで構成されました。 まず「Session 1」として、日本各地の自治体代表者が登壇し、地域課題やスタートアップへの期待を語る「リバースピッチ」を実施しました。続く「Session 2」では、アジア・欧州・北米などから来日した海外スタートアップが、自社の革新的なソリューションをプレゼンテーションしました。 ピッチ終了後にはVenture Café Tokyoとの共催によるスペシャルネットワーキング「カオス会」が開催され、参加者同士の活発な交流が行われました。

※当日の会場の様子

Session 1:自治体によるリバースピッチ

Session 1では、日本各地の自治体がそれぞれの地域が抱える課題や共創テーマ、スタートアップとの連携可能性を発信しました。

  • 宇都宮市(馬場 将広 氏):東京からのアクセスの良さを活かし、宇宙産業の推進に注力。多数のR&D拠点が集積する環境や、アクセラレータープログラムを通じた積極的なスタートアップ支援体制を共有。
  • 静岡県(Kyo Satani 氏):製造業の出荷額が全国トップクラスである一方、農業や高齢化、防災といった「現実の課題」は地方にあると指摘。気候テックやディープテックの実証実験(PoC)の場として、静岡県が最適な環境であることをアピールしました。
  • 愛知県(ANGLIONIN Louis 氏)
    国内最大規模の経済圏であり、世界的な製造業の集積地である強みを強調。充実したインフラや2034年開業予定のリニア中央新幹線にも触れました。また、日本最大のオープンイノベーション拠点「STATION AI」やイベント「TechGALA」を通じた海外スタートアップの誘致、国際的なコラボレーション支援体制を紹介。
  • 京都市(塩山 茜子 氏):35の大学と15万人の学生を擁し、多数のノーベル賞受賞者を輩出する「イノベーションの源泉」としてのアセットを提示。伝統工芸の技術が半導体や創薬などの先端産業を支えており、ディープテックやグリーンテック分野が成長している現状を共有しました。市として「ディープテック向けCXO人材の誘致」「オープンイノベーション」「グローバル展開支援」を強化していく方針を呼びかけました。
  • 福岡県(中土 真輝 氏):アジア各都市への直行便や空港からの抜群のアクセスなど、アジアへのゲートウェイとしての地理的優位性をアピール。香港やシンガポールなど他都市に比べて低いビジネスコストや、豊かな食文化・住みやすさといった魅力も発信しました。県主導の支援拠点「Global Connect Fukuoka」を中心に、バイオや半導体、宇宙産業などのディープテック支援やグローバル企業とのマッチングを推進していることを伝えました。
  • 神戸市(福田 志織 氏):都市部と自然が近接し、国際港や空港を持つ利便性を紹介。世界クラスのバイオメディカルクラスターを形成してきた歴史に触れつつ、高齢化や労働力不足といった課題解決に向けて、多様なPoCのフィールドを提供できる旨を伝えました。
  • 札幌市(佐藤 格郎 氏):豊富な自然環境と都市機能が調和する札幌市の強みを提示。特に「一次産業・食」「宇宙産業」「環境・エネルギー(GX)」に注力し、再生可能エネルギーのポテンシャルを活かしたグリーントランジションの推進や海外企業向けのサポート体制を紹介。

Session 2:海外スタートアップピッチ

Session 2では、SusHi Tech Tokyoに合わせて来日した海外スタートアップ各社が、世界規模の社会課題・産業課題を解決する自社の技術やサービスについてピッチを行いました。各社が持つソリューションは、日本市場や地域の課題解決とも高い親和性を持っていました。

※Saddle Point Science Europe/Dzeneta Mahmutovic氏

StandIn/Parker Miller氏

【オランダ】

  • StandIn:時差のあるグローバルチーム間でもシームレスな業務継続を可能にするナレッジベースツールを提供。
  • Saddle Point Science Europe:臨床試験のデータ分析や患者のサブグループ特定など、プライバシーを保護したデータ共有技術を開発。
  • Scenwise:GPSが届かない屋内空間などで、視覚障害者向けの安全で独立した移動を支援するナビゲーションシステムを提供。
  • Wonderment by Design:あらゆるスクリーンをインタラクティブなファン体験に変えるプラットフォーム「Wonderwall」を開発。
  • SolarDuck:洋上浮体式太陽光発電技術を応用し、海底ケーブルに依存せずに海上でのデータや電力を提供する小型プラットフォームを開発。
  • Tekle Holographics:AR(拡張現実)ベースのホログラフィックディスプレイ技術を開発。ヘッドセット不要で実物大の3Dホログラムを表示し、建築・防衛・デジタルツインなどにおいて複雑なデータを直感的な3D体験に変換するエンタープライズ向けソリューションを提供。
  • Kalpana Systems:ロール・トゥ・ロール方式の薄膜コーティング装置を開発。原子層堆積(ALD)技術を用いて1〜100ナノメートル厚のコーティングを大面積で実現し、OLEDやフレキシブル太陽電池、バッテリー、リサイクル可能なパッケージなどへの応用に不可欠な技術を提供。2027年のシリーズB調達とスケールアップを見据え、日本企業との協業を模索しています。

※Narnia Labs. Co., Ltd./Jinwook Yeo氏

【韓国】

  • STEALIEN:アプリの改ざん防止や難読化など、モバイルアプリ向けの強固なセキュリティソリューションを提供。
  • FUST Lab.:超音波技術を用いて、PFAS(有機フッ素化合物)などの難分解性物質を分子レベルで直接分解するソリューションを開発。
  • Narnia Labs:数日かかるシミュレーションを数秒に短縮し、製造業のAIトランスフォーメーションを支援する最適化ソリューションを提供。

※H3 ZOOM PTE. LTD./Shaun Koo氏

 

【シンガポール】

  • H3 ZOOM PTE. LTD.:建築物やインフラの老朽化検査をデジタル化し、AIエージェントが長期的なメンテナンス計画を支援するプラットフォームを提供。

※Eratani/Bambang Cahyo Susilo氏

【インドネシア】

  • Eratani:小規模農家に向けて資金調達、技術、市場へのアクセスを統合的に支援し、持続可能な農業の発展を目指すプラットフォームを提供。

Ucaneo Biotech GmbH/Florian Tiller氏

【ドイツ】

  • LexaTexer:文書からの要件抽出を自動化し、製造業向けのコンプライアンスプロセスや証明書作成の効率を大幅に向上させるプラットフォームを展開。
  • eversyn GmbH:酵素合成技術を用いて複雑な糖鎖を開発し、乳児用粉ミルクやバイオ医薬品向けに提供。
  • Ucaneo Biotech:大気中からCO2を直接回収するDAC(Direct Air Capture)技術を開発し、合成燃料などへの活用を目指す。

※Imvi Labs/Peter Carlsson氏

【スウェーデン】

  • Imvi Labs:読字障害を持つ子供向けに、VRグラスとモバイルアプリを用いた視覚トレーニングを提供し、集中力の向上を支援。

スペシャルネットワーキング「カオス会」

すべてのピッチセッション終了後、Venture Café Tokyoとの共催によるスペシャルネットワーキング「カオス会」が開催されました。 パートナーイベントと合わせた登録参加は400人以上。
この交流会では、自治体関係者、海外スタートアップの起業家に加え、投資家、支援機関、行政、研究者、学生など多様な参加者が立場を越えてフラットに交流しました。計画されたプログラムの中だけでは生まれない偶発的な出会いから、新たな地域連携やビジネス共創のきっかけが多数生まれる場となりました。

イベントの意義と総括

今回の「Japan Regional Reverse Pitch & Global Startup Showcase」は、以下の点において非常に意義深いイベントとなりました。

  1. 地域課題解決のグローバル化:地方が抱える社会課題の解決は国内の技術やリソースに閉じることなく、グローバルな最先端技術と接続することで劇的に加速する可能性
  2. リバースピッチによる具体対話の創出:自治体側から具体的なニーズや課題を提示する「リバースピッチ」を行ったことで、海外スタートアップとの間で具体的な協業やPoCに向けた対話が生まれました。
  3. 日本市場展開の新たな入口:海外スタートアップにとって、日本の地方地域が実証実験の最適なフィールドであり、日本市場進出の重要な入口となりうることも示されました。
  4. 国際共創拠点としての役割:CIC Tokyoが、日本の自治体・海外スタートアップ・投資家・支援機関が交差する「ハブ」として機能し、国際的なエコシステム形成に寄与。

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CIC Tokyoは今後も、国内外のスタートアップの成長を支援するとともに、世界中のイノベーターが集い、社会課題解決に向けた新たなソリューションが次々と生まれるイノベーション・コミュニティの創出に取り組んでまいります。今後のイベントや共創プロジェクトにもご期待ください。