日本最大級の研究開発型スタートアップ&研究者のピッチコンテストであるESG TECH BATTLE 2023 powered by NEDO の頂点がついに決定!
CIC プレスリリース
日本最大級の研究開発型スタートアップ&研究者のピッチコンテストであるESG TECH BATTLE 2023 powered by NEDO の頂点がついに決定!最優秀賞は広島大学 博士課程後期、中野佑紀 氏!

2023年3月8日、CIC Tokyo(本社:東京都港区虎ノ門、職務執行者: Timothy Rowe、以下「 CIC」)は国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」という。)と連携し、ESG領域の研究開発型スタートアップや研究者を対象としたピッチコンテスト(賞金100万円)を開催しました。合計95件の応募の中から選ばれた15名のファイナリストがピッチし、最優秀賞、優秀賞、そして、審査員特別賞として、経済産業省産業技術環境局長賞、NEDO賞、CIC Tokyo会長賞が決定しました。

ESG TECH BATTLE 2023は、NEDOが2021年度に新たに創設した、プレシード・シード期の研究開発型スタートアップ、研究者、起業家のためのピッチコンテストの第2弾です。対象は環境エネルギー分野を中心としたESG関連領域で、合計95件の応募があり、書類選考を通過した国内外の15名のファイナリストが2023年3月8日にCIC Tokyoでピッチバトルを繰り広げました。現地では展示会も開催され、現地には80名近い方にご参加いただき、オンラインでは300を超える方にご視聴いただきました。会場は熱気に包まれ、注目度の高いピッチコンテストとなりました。

<優秀者の表彰>

5名の著名な審査員による厳正な審査の結果、以下のファイナリストが受賞者に決定しました。

[最優秀賞] 

(賞金100万円、1年間の事業成長サポートとCIC Tokyo利用権)

中野 佑紀 氏 / 広島大学 博士課程後期

2013年3月に広島大学にて修士(理学)を取得。化学メーカーに就職し、電子デバイス・半導体業界の研究開発と技術営業・事業開発に従事。2021年9月に関西学院大学経営戦略研究科にて経営管理修士(専門職)を取得。21年10月より広島大学(博士課程後期)に在席し、起業準備中。

[広島大学] 広島大学の研究成果である革新的メモリ材料「単分子誘電体」の社会実装を目指した研究開発型スタートアップを設立予定。超高密度・高速処理を実現する不揮発メモリの開発により、超低消費電力コンピューティングを実現する。事業内容は単分子誘電体の製造・販売及びデバイス開発。各種機能性材料の分析・評価サービスの提供。

審査員講評 抜粋

審査員からもコメントがあったように、まさにゲームチェンジャーで、世界的にもコンピューティングパワーの増大により消費電力も上がっている中で、課題解決に向けて次世代に不揮発性メモリの開発に大変期待しておりますので、ぜひがんばってください。

受賞者コメント

本日は私は絶対優勝するんだという気持ちでここにこさせていただきました。素材分野や材料分野はなかなか日の目をみない、注力されない分野でこのように受賞できたことは非常に光栄です。なかなか長い道のりではありますが、我々も負けずにしっかりと日本の科学技術に貢献していきたいという強い気持ちでこれからしっかりとがんばっていきたいと思います。広島からスタートアップを作り盛り上げていこうという地方からの熱い気持ちもありますので、ぜひともご支援のほどよろしくお願いいたします。

[優秀賞]

(1年間の事業成長サポートとCIC Tokyo利用権)

水野 優 氏 / 広島大学病院 眼科専門医

2011年広島大学医学部医学科卒業後、三井記念病院、東京大学医学部附属病院を経て、広島大学病院、県立広島病院で医師として勤務。その後厚生労働省、日本医療研究開発機構で行政官として勤務の後、2021年4月より広島大学病院で勤務。スタートアップ起ち上げ準備中。

[広島大学病院] 緑内障や糖尿病網膜症といった眼底疾患は、治療法があるにも関わらず、眼底検査の遅れにより失明をきたす。失明はQOLの低下のみならず、生存率低下や社会の経済生産性を低下させる。眼底疾患は末期まで無症状であること、眼底は眼科医による診察もしくは大型で高額な眼底カメラでのみ観察可能なことから、眼科アクセスが困難な患者は失明してしまう。我々はスマホ接続型眼底カメラとAIを活用した遠隔診療体制を包括的に構築し、広島から世界の失明を防ぎ社会への貢献を行う。

審査員講評 抜粋

眼底を撮影するという入口のハードルを下げていくような形で、医療未発達の特にニーズの高い地域で普及できれば素晴らしいと思います。また、目の病気だけではなく、他の病気にも転用可能ということで、インパクトの広さをみなさんで議論し、評価をして受賞となりました。

受賞者コメント

今の時代だからこそできる技術になっていると思っています。30年前だったら、緑内障や糖尿病網膜症など眼底の病気は治療法がなく、仮に早期に診断できても患者さんには失明するかもしれませんねとしか言えませんでした。しかし、今はいい治療法がたくさんできてきています。また、診断や治療に関しては、発展途上国でもグローバルレベルのものができており、診断さえできていればスムーズに治療できるのが今の世界なので、最初のハードルを下げることでみなさんが100歳までご家族の顔をしっかり見れるような社会を作りたいと思っています。

[優秀賞]

(1年間の事業成長サポートとCIC Tokyo利用権)

亀井 潤 氏 / AMPHICO CEO

Jun Kamei is a multi-disciplinary designer, scientist and entrepreneur, born in Japan. He is the founder and CEO of AMPHICO, an award winning material innovation company based in London. He is the inventor of AMPHITEX, a revolutionary sustainable high-performance waterproof textile technology, which does not rely on PFAS chemistry and is fully recyclable.

[AMPHICO] AMPHICO is a material science startup based in London and Japan developing AMPHITEX, a fully circular and PFAS-free alternative to conventional waterproof textile technology. Current outdoor performance textiles are multi-material laminates which are impossible to recycle and with heavy reliance on toxic PFAS water-repellent chemistry, subject to future regulation in the US and EU.

https://www.amphico.uk/

審査員講評 抜粋

日本の伝統的な強みである繊維産業、テキスタイルが強く活きるところと、本日もロンドンからプレゼンテーションいただきましたように、多国籍チームでBorn Globalで活躍されることを大変期待しております。

受賞者コメント

私自身ずっと素材研究をして、その後英国に移動してプロダクトデザインを学び、イギリスという地で新しいテキスタイル素材を産む中で、母国である日本の製造技術がすごく高いことを知り、2023年は日本での製造や事業展開も加速させていきたいと思っています。今回の賞を期により一層がんばっていきたいと思います。

[審査員特別賞] 経済産業省産業技術環境局長賞 

(1年間のCIC Tokyo利用権)

出本 哲 氏 / 株式会社Gaia Vision 共同創業者

東京大学大気海洋研究所にて気候変動に関する研究を行い、理学修士号を取得。PwCコンサルティング・ADL(アーサー・ディ・リトル)にてAI・ロボット関連の戦略コンサルティングに従事した後、アラヤにて執行役員CSOとしてAI・ニューロテック関連事業の経営、戦略立案、事業開発に従事。元・最年少気象予報士。

[株式会社Gaia Vision]Gaia Visionは、東大発の気候変動スタートアップです。気候科学や洪水シミュレーション技術を活用して、企業のリスク分析を容易に実現するWebアプリを提供しています。TCFD等の情報開示要請で求められる一方、企業自ら実行するのは難しいとされてきた、グローバル・将来気候シナリオの定量分析まで弊社は提供しています。

https://www.gaia-vision.co.jp/

審査員講評 抜粋

デジタル✖️グリーンということで、グリーンをいかに進めていくかという観点ではデジタルの部分も合わせて進めていかないといけないですが、なかなか日本ではまだそういうスタートアップさんがあまり多くはないと思います。そんな中で、新しいリスク分析やそのまま金銭価値に変えていくといった部分を進めていくと、いずれは競争状態となってくる部分もあるかもしれないので、ぜひとも早くファーストムーバーになっていただいてビジネスを進めていかれることを期待しています。

受賞者コメント

今デジタルといったキーワードを言っていただきましたが、私自身ずっと気象のテーマをやってきてはいますが、途中でAIの会社をやってみたりなど、いろいろやってきております。それら経験をすべて統合して、ちゃんと社会に役に立てるようにソリューションを開発して、いろいろな方とコラボレーションを進めていきたいなと思っております。

[審査員特別賞] NEDO賞

(1年間のCIC Tokyo利用権)

木村 俊介 氏 / 株式会社TOWING 取締役COO

総合電機メーカでの研究開発、車載部品メーカでの新規事業開発を経てTOWINGを共同創業、取締役COO就任。 大手農業法人、農業関連企業などとのアライアンスを中心に、主力商材である高機能バイオ炭の事業企画からマーケティング、営業まで一気通貫で担当。

[株式会社TOWING] 農業における脱炭素と減化学肥料・有機転換を実現する”高機能バイオ炭”の開発・販売と、農地由来のカーボンクレジットの取得・販売事業を実施。

https://towing.co.jp/

審査員講評 抜粋

バイオ炭を用いて農家の収量拡大を目指し、かつ、カーボンクレジットも創出するビジネスで、おめでとうございます。個人的にも家庭菜園をおこなっているので、今後ぜひ使ってみたいです。

受賞者コメント

ちょうどNEDOさんからエネルギー環境関連の事業において2022年度に採択いただいており、引き続きNEDOさんのご支援もいただきながら事業を推進していきたいと思っております。バイオ炭に興味のある方はぜひともお声がけください。

[審査員特別賞] CIC Tokyo会長賞

(1年間のCIC Tokyo利用権)

立岩 健二 氏 / 株式会社アジャイルエナジーX 代表取締役社長

1996年京都大学大学院エネルギー応用工学専攻修了後、東京電力入社。新型原子炉の安全設計を担当。2004年スタンフォード大学MBA取得後、日本の電力会社初となる、海外原子力事業への出資参画を主導。福島第一原発事故対応時の教訓を踏まえ、アンチ・フラジャイルに開眼。2022年東京電力における両利きの経営を体現する社内ベンチャーとして、アジャイルエナジーX設立。技術士(原子力・放射線)。

[株式会社アジャイルエナジーX] 先端デジタル技術が電力を大量に消費するという特性を活用し、「変動する発電量に合わせた柔軟な電力需要を創出する」という逆転の発想で、再生可能エネルギー導入量の最大化と電力系統の最適化を実現するソリューションを提供。

https://agileenergyx.co.jp/

審査員講評 抜粋

エッジの効いたビジネスモデルでしびれました。崩壊しそうな電力システムを緩和するどころか、余剰電力資源で劇的にマネタイズをするというビジネスモデルをお堅いであろう東京電力グループの中で、4年間かけて実現までこぎつけるというパッションも含めて、高く評価をさせていただきました。

受賞者コメント

無理なく再生可能エネルギーを入れながら経済も回していくというビジネスでありますが、当社だけでは決してできないので、今日ご参加のみなさまを含めて一緒にコラボレーションをしながら日本のエネルギー基盤を強固にしたいと思います。

<ファイナリストについて>

上記の入賞者に加えて、95件の応募の中から以下の9社が書類選考を勝ち上がったファイナリストとして登壇しました。

各ファイナリストの詳細はこちら:https://jp.cic.com/news/event/esg-tech-battle-2023-finalists/

ファイナリスト一覧 (登壇順)

  • 伊藤 光平 氏 / 株式会社BIOTA 代表取締役
  • 葦苅 晟矢 氏 / 株式会社エコロギー 代表取締役
  • Surinder Singh 氏 / Relyion Energy Inc. CEO
  • 亀井 潤 氏 / AMPHICO CEO
  • Hilla Shaviv 氏 / Gals Bio Ltd CEO
  • 北村 もあな 氏 / Floatmeal CEO
  • 木村 俊介 氏 / 株式会社TOWING 取締役 COO
  • 中野 佑紀 氏 / 広島大学 博士課程後期
  • 川谷 光隆 氏 / Innovare株式会社 CEO & Founder
  • 関 大吉 氏 / 株式会社aiESG CEO
  • 水野 優 氏 / 広島大学病院 眼科医
  • 立岩 健二 氏 / 株式会社アジャイルエナジーX 代表取締役社長
  • 林 誠之 氏 / AZUL Energy 株式会社 取締役副社長&COO
  • 坂井 洋平 氏 / ユビ電株式会社 プリンシパル
  • 出本 哲 氏 / 株式会社Gaia Vision 共同創業者

総括コメント>

竹内 純子氏 / U3イノベーションズ合同会社 共同代表

最近、ピッチの審査員をさせていただくことも多いですが、割と母の気持ちになってしまって、時々泣きそうになったりで、本日は本当にいいお話しをたくさん伺えました。また、ものすごい僅差で、審査員それぞれが惚れた企業があり、全員応援団になっているので、入賞された方はもちろんですが、入賞されなかった方も本当に僅差だったので、ぜひ応援団ができたと思って、このコミュニティを使い倒していただきたいなと思っています。審査員のみなさんがおっしゃってくださったように、今回はレベルも非常に高く、多様性という面でも一段進んだなという気がしています。ここからビジネスにしていくためには、みなさん何回も死の谷を超えるということになりますが、その時に応援団がいるのでぜひ使い倒して死の谷を超えていただければと思います。掘ればいろいろ出てくるなということも感じ、多くの日本のスタートアップのみなさまがここにきてくださったのはとても嬉しいなと思います。電力崩壊の本の中にもアジャイルエナジーさんのようなビジネスが必要であることを書いているので、ここのスペースが空いているなというところを見つけてビジネスを作ってくださる方が実際に出てくるという連携も生み出していきたいなと、研究者の立場としても改めて思いました。研究者の立場とU3イノベーションズとして参加させていただきましたが、3つ目としてU3イノベーションズでファンドを立ち上げて、その評点も自分の評点とは少し違ったりして、いろんな意味で今日のみなさんのピッチを楽しませていただきました。これからの今日の参加者のみなさん全員とコミュニケーションを続けていけたらなと思っております。

 

梅澤 高明 氏 / CIC Japan 会長/A.T.カーニー株式会社 日本法人会長

みなさま刺激的なピッチで随分勉強させていただきました。今日のみなさんのピッチを振り返ると、ひとつはDeeptech、それからGoing global、そして多様性というこの3つのキーワードは、実はCICを立ち上げた時からずっと追求してきたテーマでもあります。ほぼ毎日のようにCICでイベントをやらせていただいていますが、今日は特にCICらしいイベントだったなと感銘を受けています。もう一つは、日本の強みを活かして世界で戦っていかないといけないと考えた時に、素材、ものづくり、バイオ、エネルギーと、日本が産業的な強みを持っているところで今日も有望なピッチをいくつも聞かせていただいたので、本当に大きな期待を感じさせていただきました。そうは言ってもDeeptechのハードルは高い上に時間もかかるので、CICコミュニティの中にはVCだけでなく、大企業の強いコミュニティもありますので、そういう方々と一緒になって総力をあげてご支援をしていきたいなと感じました。

 

八木 信宏 氏 / 京都大学イノベーションキャピタル株式会社/京都大学産官学連携本部 支援・投資委員 投資第一部長

あっという間の時間というのがふさわしい今日の感想でした。我々は京都大学でまさにごりごりのDeeptechを作ろうと取り組んできましたが、やはりテクノロジーそのものは蛸壺に入り込んだり、なかなか広い視野でビジネスモデルが描けないというのも一つ指摘されるところです。今日の気づきとしては、チームの力、ビジネスモデルを考えて自由に世界の課題を解決しようというwish / willが技術を世界に羽ばたかせて花開かせていく一つの大きなdriving forceだなと思いました。大学の中にいても産業界とクロストークをしながら、新しいテクノロジーを作っていこうと心新たにしたところです。本日は本当に楽しませていただきました。

 

田中 謙司 氏 / 東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻 准教授

私もあっという間に時間が過ぎたという感想で、非常に楽しみましたし刺激を受けた1日でした。東京大学もDeeptech起業演習というDeeptechを使った新しい起業と社会変革という授業をやっていますが、今日も大変勉強になりました。受賞された方以外の方のお話しをさせていただくと、BIOTAさんのように細菌を建物内でコントロールし腸内フローラを建物に拡大したコンセプトで新しい市場を作ったり、エコロギーさんのように発展途上国の農村も助けていくような形でビジネスを作る、ユビ電さんのように手元にあるもので新しい世界に誘導してくれるようなビジネスモデルなど、非常に刺激を受けましたのでいろいろ持ち帰って考えてみたいなと思いました。非常にレベルが高いなと感じました。

 

Fariza Abidova 氏 / Trusted 株式会社共同設立者&CEO、SOPHYS 株式会社創業者 

私は日本とヨーロッパのオープンイノベーションをサポートするビジネスをやっていますが、その中で日本にはAging SocietyたClimate Change, 素材系の素晴らしい技術はないのかと毎日のように聞かれます。そのため、本日のピッチを非常に興味深く聞かせていただきました。本日のピッチイベントの中で出たソリューションは、日本だけではなく世界中の社会課題を解決するものですので、例えば日本ではまだ導入のハードルが高いとか資金調達が難しいとか、企業とのコラボレーションに時間がかかるなどがあれば、日本だけに限定せずに海外の機会にどんどんアプローチしてほしいです。その技術が完全にできていなくても、英語ができなくても、ヨーロッパやアメリカは資金のスケールも大きいし、サポートする仕組みも整っているので、たくさんのチャンスがあり世界の社会課題を解決するためには全世界をプラットフォームとして捉えてチャンスがあるところにどんどんアグレッシブにいってほしいなと思いました。