慶應義塾大学、筑波大学が主催し、Stanford大学SPARKやCalifornia大学San Diego校 (UCSD)とも連携する医療系アクセラレーションプログラム「Research Studio」の国際シンポジウムをCIC Tokyoが共催しました。この国際シンポジウムは毎年行われ、Research Studioの成果発表やイノベーションエコシステムに関する議論を行っています。今年は12月10日(木)に、オンラインとオフラインのハイブリッド形式で行われました。
本シンポジウムは全世界に配信され、200人前後が視聴するなか、大学、スタートアップ、行政、アクセラレーター、投資家等、非常に多様な講演者が登壇しました。前半は英語で行われ、Research StudioやUCSDの取り組みの紹介、医療機器を開発するスタートアップによるピッチやアクセラレーターによるパネルデスカッションが行われました。後半は省庁や東京都からのエコシステム構築に関わる発表、デジタル・AI技術の医療への応用についての発表、そしてエコシステム構築の議論が行われました。
【登壇者一覧・前半】英語のセッション
(開会あいさつ)
・慶應義塾大学病院 副病院長・臨床研究推進センター長 佐谷 秀行氏
・文部科学省 研究振興局 ライフサイエンス課 課長 武田 憲昌氏
・厚生労働省医政局 研究開発振興課治験推進室 室長 野村 由美子氏
(Research Studio概要説明)
・筑波大学 医学医療系 教授 つくば臨床医学研究開発機構 小栁 智義氏
(Startup Pitch)
・筑波大学 医学医療系講師 つくば臨床医学研究開発機構 町野 毅氏
・株式会社エピグノ 取締役 最高医療責任者(CMO) 志賀 卓弥氏
・Research Studio 2020 最優秀2グループ(Neurit、VesicA Intelligence)
(Introduction of Medtech accelerator at UCSD)
・カルフォルニア大学サンディエゴ校 グローバルアントレプレナー機構 エグゼクティブディレクター Dennis Abremski氏
(Round Table discussion of startup accelerators)
・筑波大学 医学医療系 教授 つくば臨床医学研究開発機構 小栁 智義氏
・湘南ヘルスイノベーションパーク ジェネラルマネージャー 藤本 利夫氏
・Beyond Next Ventures Inc. Dr. Caleb B. Bell
・Bayer Yakuhin, Ltd Dr. Ikuo Hayashi
・JETRO Kyoto Mr. Naofumi Makino
・Kyoto Research Park Ms. Mari Tabata
・CIC Japan Dr. Masaru Nagura
シンポジウム前半では、カルフォルニア大学サンディエゴ校 グローバルアントレプレナー機構 エグゼクティブディレクター Dennis Abremski氏から、UCSDで16年間続いているアクセラレーションプログラムを通じて100以上のスタートアップをサポートした実績や、筑波大学との連携、アメリカの医療系アントレプレナーの現状について意見を述べられました。日本には高い研究技術やすぐに病院で使える研究成果も多く、UCSDも日本の大学との連携に大きな価値を感じているようでした。
“Round Table discussion of startup accelerators”のセッションでは、スタートアップのエコシステムを構築するにあたり、日本各地で開催されているアクセラレーションプログラムやインキュベーターの紹介がありました。スタートアップの集積拠点、コミュニティーを構築する場として、CIC Tokyoの紹介もディレクター 名倉よりさせていただきました。そのほか、日本での資金調達の難しさや、魅力的なスタートアップを輩出していくための方法、日米の雇用文化など、それぞれのプログラムの代表者から意見交換がなされました。
【登壇者一覧・後半】日本語セッション
(デジタル時代の医療開発と、スタートアップ拠点都市)
・厚生労働省 医薬・生活衛生局 医薬安全対策課長 中井 清人氏
・内閣府 政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付 イノベーション創出環境担当 石井 芳明氏
・東京都 戦略政策情報推進本部 特区推進担当部長 米津 雅史氏
(今更聞けない?デジタル時代の医療開発に必要な知識と能力)
・慶應義塾大学病院臨床研究推進センター 副センター長 教授 副島 研造氏
・京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授 奥野 恭史氏
・NTT Research Inc. 小澤 英明氏
・慶應義塾大学医学部 放射線科学(診断)教授 陣崎 雅弘氏
・筑波大学つくば臨床医学研究開発機構 臨床研究推進センターサイト管理ユニット長 准教授 鶴嶋 英夫氏
(スタートアップ・アクセラレータ座談会 “Tech-push vs. Needs-driven”)
・筑波大学つくば臨床医学研究開発機構 TR推進・教育センター長 小栁 智義氏
・スタンフォード大学バイオデザインプログラムディレクター 池野 文昭氏
・株式会社レクメド 代表取締役社長 松本 正氏
・SPARK Taiwanディレクター Prof. Jane Tseng
・SPARK Oceaniaディレクター Prof. Michael Wallach
・大阪大学医学部付属病院 未来医療開発部 未来医療センター 特任准教授 中谷 大作氏
・京都大学大学院医学研究科「医学領域」産学連携推進機構 特定教授 鈴木 忍氏
・慶應義塾大学医学部 眼科学教室 特任講師 早野 元詞氏
・CIC Japan会長 梅澤 高明
シンポジウム後半では、「デジタル時代の医療開発と、スタートアップ拠点都市」について、政府関係者のご登壇で幕を開けました。厚生労働省 中井氏からは、医療機器・医薬品の承認に関する最近の動向、内閣府 石井氏からは、スタートアップ支援の様々な制度、特にSBIR( Small Business Innovation Reserach)の動向についてもご説明がありました。「コミュニティー・クラスターが集まる場からイノベーションが生まれる」という考えを基盤に、8つの拠点都市に関する支援にも触れられました。東京都 米津氏はスタートアップエコシステム東京コンソーシアムについて、産学官民の連携の重要性を訴えました。
その後のセッションでは京都大学 奥野氏からはAIを活用した創薬が、NTT Research Inc. 小澤氏は、患者のデジタルツインの活用により治療を最適化する方法、そして、慶應義塾大学医学部 陣崎氏は、 日本の医療系AIシステム利用の遅れと、早急なデジタル化の必要性を説明しました。
シンポジウム最後の「スタートアップ・アクセラレータ座談会 “Tech-push vs. Needs-driven”」では、シドニー、台湾からSPARKのローカルディレクターも参加し、次世代のスタートアップへのサポートや環境についてディスカッションが展開されました。CIC Tokyo会長 梅澤高明も登壇し、プログラムの最後を締め括りました。
慶應義塾大学、筑波大学のResearch Studioを通じたイノベーションを起こすための取り組みはCIC Tokyoの目指すスタートアップエコシステムと通づるところも多く、今回初の連携として当イベントを共催できたことを、大きな一歩だと捉えております。
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