Event Report

創薬の「潮目」をつかめ。日米連携の可能性と国内スタートアップ3社の挑戦

October 30, 2026

2026年10月6日、CIC Tokyoにて「Nakanoshima Qross Global Life Sciences Cluster vol.4」が開催されました。

2025年大阪・関西万博を契機に高まった国内外からの関心や交流の機会を一時的なものにとどめず、継続的な共創へと発展させるため、Nakanoshima Qrossを核とした国際的なライフサイエンス・イノベーションエコシステムおよび投資コミュニティの形成を推進していますが、​今回は2つのイベントを開催しました。海外のライフサイエンス・クラスターやVC・CVCによる活動紹介に加え、国内有望スタートアップによるピッチを実施しました。

 

イベント概要

開催日時 2026年10月6日(火)18:00〜19:30
場所 CIC Tokyo & オンライン
主催 大阪府「海外ライフサイエンス・クラスター連携促進事業」
運営 一般財団法人 未来医療推進機構 / CIC Japan
登壇者 加々美 綾乃 – Director of CIC Catalyst APAC
吉田 美里 – 一般財団法人 未来医療推進機構 エキスパートサポーター
Megan Frisk, Ph.D. – Alloy Therapeutics Chief Strategy Officer, Vigilance Division
Alexander Titus, Ph.D. – Alloy Therapeutics Vigilance Division Lead
ピッチ登壇社 Atransen Pharma株式会社
ときわバイオ株式会社
PurinoScience Inc.

 

イベントの流れ

主催・運営による開会挨拶と事業説明の後、海外のライフサイエンス・投資動向に関するプレゼンテーション、およびライフサイエンス領域のスタートアップ3社によるピッチが実施されました。

Keynote Presentation:海外のライフサイエンスビジネス・投資動向

国家安全保障と新興生物学的脅威への迅速な治療対応に取り組むAlloy TherapeuticsのVigilance部門でCSOを務めるMegan Frisk氏が登壇し、海外におけるライフサイエンス分野の最新ビジネス・投資動向に関するプレゼンテーションが行われました。

ライフサイエンス領域は大きな成長の可能性を秘める一方、従来の創薬は高コストで成功率が低く長期間を要するため多くの事業者にとって大きな障壁となっているが、現在、この状況に対して、Frisk氏は3つの大きな潮目であることを提示しました。1つ目はAIの台頭による創薬期間の短縮と運用の効率化、2つ目は大手製薬企業のR&D外部化(アンバンドリング)に伴うパイプラインの断片化、3つ目は中国をはじめとするグローバルなバイオ経済の急速な台頭です。こうした環境の変化や先のパンデミックで供給網の脆弱性が露呈したことを受け、米国ではバイオテクノロジーを経済・国家安全保障の重要柱と位置づける政策が進んでいると述べました。

これに対しAlloy Therapeuticsは、分断された創薬プロセスを一体化する製品開発組織として、アイデアからヒト初回投与までを低コストかつ迅速に進めるインフラを提供していると紹介しました。また、科学技術において1988年の協定以来の長年の日米パートナーシップの重要性を強調し、共通の技術基盤やサプライチェーンの強靭化を通じてイノベーションを加速させ、患者に一刻も早く新薬を届けるための協働を呼びかけました。

 

Startup Pitch:創薬・再生医療分野

Alloy TherapeuticsのAlexander Titus氏とCIC Catalystの加々美綾乃をコメンテーターに迎え、創薬・再生医療分野のスタートアップ3社がピッチを行いました。

河合 信宏 氏 / Atransen Pharma株式会社 代表取締役COO
Atransen Pharma株式会社は、がん細胞の増殖や代謝に重要な役割を果たす「LAT1」という分子の働きを阻害する飲み薬タイプの新薬候補を開発するスタートアップです。COOの河合氏は自社紹介の上、臨床試験を含む今後の予定と、海外を見据えた展開について語り、コラボレーターやVC、出資者からの支援を心から期待していると述べました。

 

中西 真人 氏 / ときわバイオ株式会社 代表取締役
ときわバイオ株式会社は、日本発のステルス型RNAベクター技術を最先端医療の分野へ展開するスタートアップです。代表取締役の中西氏はRNAベクターと細胞の脱分化に関する2つのプロジェクトを紹介し、臨床段階のために、近いうちに資金調達を考えていると述べました。

 

久本 浩太郎 氏 / PurinoScience Inc. Founder & CEO
PurinoScience Inc.は、加齢に伴う筋力・移動機能低下に対する経口治療薬の開発を行うスタートアップです。創業者兼CEOの久本氏は、臨床前データを確立し、新規のXOR阻害剤を進めることがゴールであると述べつつ、現在、立ち上げ段階であることから事業を加速させるためのパートナーを探していると呼びかけました。

 

おわりに

本イベントもVol.4ですが、「Nakanoshima Qross Global Life Sciences Cluster」は、単なる一回限りのイベントにとどまらず、国内外のスタートアップ、投資コミュニティ、製薬・医療機器企業、研究機関を持続的に結びつけるエコシステムの構築を目指しています。

CIC Japanは今後も、大阪・関西をはじめとする日本発のライフサイエンス・ヘルスケアスタートアップのグローバル展開と、国際的なオープンイノベーションの創出を強力に支援してまいります。