開催レポート:Energy & Environment Investor's Conference 国内外でカーボンニュートラル、SDGs、ESG投資への注目が高まる中、当イベントでは環境エネルギー分野のスタートアップに投資をしている投資家や政府のグリーンイノベーション基金のご担当社を招き、投資家の見地や今後の動向について議論しました。
CICからのお知らせ

今回はCICTokyoが注力する環境・エネルギー分野のコミュニティ”CIC Energy and Environment”の第3弾イベント。CIC Tokyoに国内外のスタートアップに投資をしている投資家を招き、環境エネルギーの分野で投資したいと考えている投資家や事業会社の方、また環境ビジネスを始めたけどどうしたら投資を受けられるか関心がある起業家の方など、総勢約50名に現地で参加いただきました。

イベントの前半は、投資家の方と1 on 1で話せるOffice Hoursを希望者に設け、後半は一般公開のカンファレンスを行いました。

冒頭、環境エネルギー分野におけるスタートアップエコシステムの課題をU3イノベーションズ創業者/共同代表、竹内 純子氏にお話しいただきました。環境エネルギー分野には今大変革期に来ており、スタートアップへの期待が高まっているとともに、環境エネルギー分野のスタートアップ特有の難しさをお話しされました。

環境・エネルギー分野のスタートアップにおける特徴については、事業に大きなポテンシャルがあるものの、世間で求められる基準が高いことから他の分野に比べて失敗してはいけない風潮があり、当分野でのスタートアップの数がなかなか増えず厚みがないことに触れらました。

また、社会課題に意欲がある起業家が多く、多様なバックグラウンドを持っていることが多い反面、モチベーションの維持や、マネタイズへのチャレンジなど、課題提起もされました。

続いて、オンラインで登壇された経済産業省 カーボンニュートラルプロジェクト推進室 室長補佐 田村 真善氏に2兆円の規模を持つ経済産業省のグリーンイノベーション基金のお話を伺いました。世界と日本の脱炭素化への動き、そこに投資されるファンドの意義や制度設計など、これから当基金で形成されるプロジェクトに関心のある企業の方にはとても貴重な情報を共有いただきました。ポイントとしては、参画企業は10年間の相応のコミットをしつつ、実用化に向けて計画的にハイリスクな開発を行うことを述べられました。

イベントの最後は以下の登壇者によるパネルディスカションが行われました。

  • 河村 修一郎氏 / 株式会社環境エネルギー投資 代表取締役
  • 鈴木 絵里子氏 / 新グローバル・ファンド (公表前)Managing Director & Fresco Capital Venture Partner
  • 鈴木 大祐氏 / Sony Group Corporation/Innovation Growth Ventures シニアインベストメントマネージャー & IGV (ファンドGP会社) 取締役
  • 田村 真善氏 / 経済産業省 産業技術局 環境政策課 カーボンニュートラルプロジェクト推進室 室長補佐
  • 竹内 純子氏 / U3イノベーションズ 創業者/共同代表

投資家から見る現在の近年の環境系のスタートアップに対する投資の状況と、どのようなスタートアップ・起業家に投資をしたいか、今まで投資家から見てどのようなスタートアップが成功・失敗してきたかなど、具体的な事例を交えてお話いただきました。最後に、投資を受けたいスタートアップのアドバイスとして鈴木氏は、「時間軸とポジショニングを明確にプレゼンできると良い」河村氏は「どのような問題をどのように解決したいのか、誰にも負けない きらりと光る何かが必要」だと仰られました。

質疑応答では、海外へ挑戦したい場合はどうすればいいのか、という質問に、必ずしも競争の激しい欧米だけでなく東南アジアもターゲットとした方が良いとする一方、日本のマーケットも大きく地域性の強いビジネスも多いのでまずは日本でしっかりやることが大事だというアドバイスもありました。

最後はネットワーキングの時間で幕を閉じましたが、来場者はとても活発に情報交換をしており、今回のイベントで投資家と起業家が繋がるきっかけづくりができたと実感しています。また、リアルイベントが減ってしまっている今、来場してのネットワーキングに価値を感じている来場者も数多く見られました。

環境・エネルギー分野での次のイベントは6月14日開催の「Startup Pitch@CIC 環境・エネルギー」です。ぜひご参加ください。