開催レポート:Women's Leadership Summit 国際女性デーに向け、企業、大学、政治を代表する方々から、ジェンダー平等や女性リーダーシップについて熱い議論が交わされました。
CICからのお知らせ

3月6日CIC Tokyoにて、国際学生会議所が開催するWomen’s Leadership Summit がオンラインとオフラインのハイブリッドイベントとして開催されました。

日々増すジェンダー平等や、女性リーダーシップ向上、女性活躍促進の声を受け、当イベントでは、企業、大学、政治の各分野の有識者が集まり、それぞれの視点からビジネスやテクノロジーなどの戦略を含め、女性の社会進出促進における各分野の連携アイディアを議論しました。

3月8日の国際女性デーに向け、女性による女性のためのイベントが多い中、当イベントは男性側からの発信や、将来を担う学生へのメッセージが多く含まれる内容となりました。

【登壇者一覧】

最初のディスカッショントピックは「男性の意識改革」。

PwC Japan グループ代表の木村氏は、国連ウィメンが提唱するジェンダー平等の実現に向けた活動「HeForShe」 (男性が女性のために何ができるのか)に賛同し推進する、PwCの取り組みについてお話されました。女性、外国人、LGBTQをはじめとしたダイバーシティに考慮した意思決定をするには、マジョリティの人が意識を変えていかなくてはいけない、と仰られ、アンコンシャスバイアスに気づく様々なきっかけ作りをしているそうです。また、男性の育休の促進についても「男性の育休取得100%」と目標を掲げ活動をされ、数年前まで29%だった取得率が60%まで上がった実績をご紹介いただきました。

東京大学副学長であり、ダイバーシティ担当の松木氏は、大学内での女性教員の割合がまだまだ低いことについてお話されました。独自に「女性教員が少ない理由」をアンケートで収集し分析分析したところ、家庭との両立が困難、という理由が第一位だったそうです。想像以上に時間と労力を使う大学教員という仕事が女性にとって継続可能なものとし去勢研究者を増やすためにも、女性研究者のキャリア形成支援、ワークライフバランス支援など、大学として現在行っている施策をご紹介いただきました。成果の一つとして、キャンパス内の待機児童は0になったそうです。なお、東京大学は2021年度から執行部の女性比率が50%を超える体制となります。

文部科学省大臣政務官 三谷氏は冒頭、橋本オリンピック・パラリンピック元担当大臣のもとで担当政務官を務めていたことや、政界での女性進出の重要性についてお話されました。森喜朗前東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会会長の発言が取り上げられたことをきっかけに、組織委員会の女性が4割りに達したとのことです。一方、女性の国会議員比率に関しては、OEDC加盟国では日本が最下位であることや、なかなか女性議員は再当選しない現状、「国会に出席しなくてはいけない」女性議員には産休が認められていないことなど、様々な問題点を挙げられました。育休に関しても官僚は28%の方が育休をとっているが、民間では7.48%しかとれていなく、大企業や公務員に比べ、特に中小企業への施策が足りないことから、法改正で男性版産休を新設する案が進んでいることもお話されました。

2つ目のトピックは「STEM女子の可能性」と題し、理系女子が少ない現状についての問題点や改善案、意見を各登壇者から聞くことができました。モデレーターであり、日本経済新聞社 編集局 女性面編集長の中村氏は、大学から工学部(理系)にいく女性が少ないことから、男性視点で開発された商品が多いことを問題視されていました。例えば、シートベルトが男性の体に合わせて開発されたことから女性の事故時の致死率が高いという論文や、コロナワクチンの臨床試験対象が白人男性ばかりであったことなどを例に挙げられました。

事実、東京大学の新入生の女子率は20%以下と低い水準で続いており、東京大学 松本氏は、理系学部の女子生徒を増やすため、女子中高生向けに行っているPR活動を紹介されました。男女の能力はほぼ同じであるのにもかかわらず、「女性は理数系が苦手」という幼い頃から家庭内外でのバイアスにも強く影響されている可能性があると述べられました。

文科省としての取り組みに関しては、三谷氏が女子中高生向けの理系進路選択支援プログラムや、Femtech(Female+Technology)という分野が確立し始めたことから、国のファンドとしても女性向け製品・サービスに出資しやすくなると仰られました。中村氏には、CIC Tokyoが女性フレンドリーの施設であることにも言及いただきました。なお、CIC Tokyoでは翌々日の3月8日もFemtechのイベントを開催します。

質疑応答の時間には、会場に来た東京大学の女子生徒から質問があり、理系女子を増やすことについて、「初等教育での取り組みはあるのか」と松木氏に問うなど、若い世代のジェンダーギャップへの関心の高さが伺えました。

産学官で、それぞれが抱えるジェンダーの課題をそれぞれの視点からお話いただき、日本で女性の活躍がどれほど重要なのかを、改めて痛感するイベントとなりました。CIC Tokyoでは国際女性デーの前後に留まらず、男性や若い世代の方にもこの問題に関心を持っていただくきっかけ作りとなるイベントや活動をしています。FemtechやBeautyTechの産業から、女性起業家、女性の社会進出が尚促進されるよう、関連企業や団体と連携深めていきます。