<想いとアイディア×起業支援> 子供や若者を元気にするサイト「ユニコーンのまち」がつくる次世代の笑顔
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<想いとアイディア×起業支援>子供や若者を元気にするサイト「ユニコーンのまち」がつくる次世代の笑顔CIC Forum #1

子供の自殺が年々増え続けているという問題に当事者と同世代という立場で大きな課題感を持つ、RIKKAさんと、慶應義塾大学特任教授であり、大学(研究)と企業(開発)の繋ぎ手として産学連携R&Dを支援する株式会社アークレブの代表取締役社長を務める浅井誠さんは、子供の自殺がない世界を作るために「ユニコーンのまち」のステートメントサイトを立ち上げ、精力的に各所への働きかけや起業ピッチなどへの登壇を通して社会課題の解決を目指されています。CIC Tokyoを通じで生まれたコラボレーションの背景や、今後の展望をお伺いします。

 

・RIKKAさん

・株式会社アークレブ 代表取締役社長/共同創業者 慶應義塾大学特任教授 浅井誠博士(工学)

 

RIKKAさんと浅井さんがコラボレーションしたきっかけを教えてください。

RIKKAさん「小学校3年生の時、日本で子どもの自殺が過去最多になったというニュースをみて、私はとてもびっくりしました。精神科医の父に何かできないかと相談しましたが、父からは目の前の患者を元気にすることしかできないと言われて。だったら私がこの問題を解決しようと思ったんです。とりあえず何から始めたらいいか分からなかったので、まずはインターネットで東京都の起業支援について検索してみました。そこからCIC Tokyoに入居していた東京都のスタートアップ応援拠点を知って母と一緒に話を聞いてもらいに来たんです。1年前なので、当時は小学校3年生。とても丁寧にお話を聞いてもらい、CIC Tokyoの中も案内してもらえてとても感動しました。」

 

浅井さん「私はちょうどそのタイミングにCIC Tokyoのエントランスで別の方と待ち合わせをしていたんです。そこでRIKKAさんを案内していたCIC Tokyoのメンバー(当時CICへ出向中の東京都職員)に偶然声をかけてもらったのですが、とにかく驚きました。お母様といらっしゃっていたので、お母様のお仕事の付き添いでRIKKAさんがいらっしゃっているのだと思ったら、なんとRIKKAさんが起業を考えていると。私は大学でも起業支援をしていますが、一番若い方でも卒業を控えた高校生が最年少で、AO入試で大学への入学が早期に確定しているため入学までの間に起業を考えている、という方の相談を受けていました。しかし、小学校3年生の女の子は初めて。よもや、ご本人が事業を始めたくていらっしゃるとは思いませんでしたね。しかも私と出会う前に、すでに精力的にご自身で活動を行われていたんですよ。」

 

RIKKAさん「実は浅井先生に会う前、都内の有名ホテルに協力してもらって「グミ・アフタヌーンティー」という取り組みをしたことがありました。私は新型コロナウィルス感染症の蔓延が始まった時に小学校1年生になり、入学式もなくお友達とも会えない日々が続きました。小学校3年生になった時、テレビで他の国の人はみんなで集まってとても楽しそうにしているのを見て。でも、日本人はまだまだつらそうでした。日本の小学生ももっと笑顔にしたいという私の思いと共にイベントを都内の有名ホテルへ提案して「グミ・アフタヌーンティー」が実現しました。私はグミが大好きなので、グミを使ったアフタヌーンティーだと面白いし元気になる。私にとっては夢のような時間になりました。でも、私は私だけが嬉しいのではなく、みんなを笑顔にしたかった。今回のイベントは一度きりだったので、いつでも誰でも来られるわけではなかったんですよね。限られた人たちだけでなく、もっとたくさんの、たとえば今泣いている人でも笑顔にしたいなって思いました。」

 

 

-「ユニコーンのまち」はそんなRIKKAさんの思いをどのように形にしたものなのでしょうか。

RIKKAさん「まだステートメントサイトなのですが、出来上がったら若者を笑顔にして勇気付けられるものにしたいです。子供を元気にするためには「気軽に悩みを相談できるツール」と「長所や強みを応援する仕組み」の両方が必要だと思っています。例えば、私は耳を動かせるのが自分の長所だと思っていましたが、お友達と相手の長所を褒め合うということをしてみた時には「おしゃれ」「話を聞いているときの表情が優しい」「人前に出る職業についた方がいいよ」という自分では考えていなかったいいところを見つけてもらえました。そこから生まれたのが「ユニコーンのまち」の一部である、自己肯定感を爆上げするアプリ「ほめっち」です。「ほめっち」は、お友達同士がアプリを通して褒め合うことで、マイキャラが成長していくゲームのようなコミュニケーションツールです。」

 

 

浅井さん「私には年長と小学校4年生の子供がいるのですが、初めてRIKKAさんに「ユニコーンのまち」の構想を伺った時は、自分の子と同じ年代の子が自殺というテーマに向き合っていることにとても感心しました。やはりこういったテーマは当事者が声を上げることが大事ですよね。RIKKAさんご自身がシンボリックな存在になることに価値がある。当初、RIKKAさんはこのテーマに一人で向き合ってプラットフォーマーになろうとされていたのですが、プロジェクトの立ち上げをする仲間も必要だし、立ち上げたあとに応援してくれる人も必要になります。そしてこのプロジェクトは、やりたいことが多岐にわたるのでお金が必要になる。すると、どうやって収益を上げるかを考え始め、目的よりも手段にフォーカスすることで問題の本質がズレてしまい、目的までブレてしまう可能性も出てくる。なので、最初に私がRIKKAさんへ伝えたこととしては「仲間を作りなさい」と「やり方は変えてもゴールは変えてはいけない」の2つでした。また、仲間作りをしていくためにはRIKKAさんが考えていることを色んなところでお話していただく機会を作ることが大事だと考えて、この1年間で多くのピッチやコンテストなどを経験していただきましたね。」

 

-これまでどのような場でプロジェクトについての発信をされてきて、どのような反応でしたか?

RIKKAさん「まずは浅井先生のご紹介があり、研究者集団AASNの総会で「ユニコーンのまち」のプレゼンをさせてもらいました。人前で話すことにすごく緊張して、最初はお手洗いから出てこられなかったんですけど、実際にプレゼンを始めると、途中で皆さんが笑ってくださったり、泣いてくださったり、最後にはたくさんの方が名刺交換をしてくださって感動しました。そこからは、CIC Tokyoの会議室をお借りして都民ファースト副代表の入江のぶ子様にプレゼンさせていただき、それがきっかけで東京都の議事堂まで行って東京都と千代田区の議会議員の方々や東京都子供政策連携室、教育庁、福祉局など子供政策に関わる方々の前でお話する機会をもらいました。たくさんの大人に囲まれて、まるで記者会見のような雰囲気だったので人生で一番緊張しました。足がガクガクと震えてしまい、緊張のために足が震えるのか、その日に行った高尾山への遠足で足が疲れていたのか分からなかったです。プレゼンの結果、感想や具体的なアイディアをたくさんいただき、中でも小学生に配られるタブレット端末に「ユニコーンのまち」のアプリをあらかじめ入れておいたらどうか、というものはすごく嬉しかったです。まずはこれが最初のゴールとして目指すべきところだなと思いました。

 

浅井さん「東京都の皆さんからもかなり好感触の反応をいただいており、公共性の高いプロジェクトであることも手伝って、かなり具体的なご提案もいただけました。皆さんからの期待値も高まってきていますので、まずは構想を一歩でも具体化させるべく、プロトタイプとしてのアプリをローンチすることを検討し始めています。そういう意味でも仲間集めはとても重要なミッションになっています。RIKKAさんは他にも様々なところへ登壇されたり、お話を聞きに伺われたりしましたよね?」

 

 

RIKKAさん「はい。サービスを育てていくために、平成帝京大学の心理学科教授の馬場先生や、東大の子供カウンセラーである江口先生にお話を聞きに行き、実際につらい気持ちになった子供をどうやって元気にさせているのか教えてもらいました。他にも、「東京都こども基本条例ワークショップ」で自分と違う立場の人の気持ちを体験するロールプレイに参加したり、横浜みなとみらいで行われた、慶應義塾大学の2040独立自尊プロジェクト「2040クエスト〜未来への挑戦者たち〜」で「ほめっち」のプレゼンをしたりしました。特に心に残ったのは小学生・中学生対象のプレゼンテーションアワードである「スタートアップJr.アワード」への出場でした。決勝戦まで進んだのですが残念ながら優勝できず。金ピカのトロフィーが取れなかったので、学校も休んで三日三晩泣きました。本当に悔しかったです。でもそこから、プレゼンは聞いてくださる人の心を動かすものにしなければならないという学びがあり、もし優勝していたらこの学びもなかったと思うので良い経験になりました。これからもたくさんプレゼンをして上手くなっていきたいです。」

 

-今、どんな支援を求められており、今後どのような活動をされる予定ですか?

RIKKAさん「CIC Tokyoを始め、色々なところで大人が親身に話を聞いてくれてとても感謝しています。今後お願いしたいこととしては、「ほめっち」をアプリにするためにゲームを作るのが得意な会社の人を紹介してもらいたいです。そういう人たちの前でプレゼンする機会をいただけると嬉しいです。一緒に事業を成長させてくれる仲間をいっぱい作りたいので、その支援をしてもらいたいなと思います。

 

浅井さん「私は、RIKKAさんのような小さな子でも本気で社会を変えたいと願う勇気のある子どもたちは、実は多くいるのだと気が付かされました。彼らの声に真剣に耳を傾ける場が必要なのではないでしょうか。現状、小学生でも参加できるピッチイベントなどは子供への教育の場として提供されているものが多い印象で、審査員は教育評論家だったりするんですよね。教育の場も大切ですが、本気で社会を変えたいと願い行動する大人顔負けの子供たちには、年齢問わずお金やサポートがつくべきでしょう。そういった意味で、もっと小学生などが本気でピッチができる場を増やしていくとスタートアップ界隈に新風が吹くのではないかと期待します。CIC Tokyoそのものが起業家と起業家をサポートする人たちのるつぼだと思うので、小学生がやりたいことを発表できる場を設けても面白いのではないでしょうか。また、他国にもスペースをお持ちなので、小学生の国際的な活動を支援しても良いですよね。また、学校側とももっと協力していけると良いと思っています。例えば、ピアノやクラシックバレエなどの習い事の発表会であれば、普通は学校の許可は必要ないですよね。でも、ビジネスピッチへの登壇となると学校によっては出場許可が必要なケースもあると聞きました。そうした部分も、RIKKAさんのような起業家の存在がもっと世に広まることで、理解を得られていくと良いと思います。」

 

 

RIKKAさん「それが叶って多くの仲間が集まったら「ユニコーンのまち」を実現したいです。その中のコンテンツである「ほめっち」と「相談の海」もプロダクトとして発表していきたい。実現させられた先には、子供の自殺は減ると思うし、もっと若者の自己肯定感が上がり楽しい世の中になると思います。私は日本を、自分は素敵だ!と思える若者が世界一多い国にしたいです。」

 

 

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