2026年7月31日、CIC Tokyoにて「FIBA 3×3 & MITSUBISHI ELECTRIC presents Women 3×3 Basketball Seminar 2026 Tokyo」が初めて実施されました。
「3×3が5人制女子クラブと選手にどのような価値をもたらすか」というテーマを掲げ,
100人近くが参加した本イベントでは、国内外で活動する4名の登壇者が、それぞれの立場から両競技の関係を語りました。翌日から東京・国立代々木競技場で開催された「FIBA 3×3 Women’s Series Tokyo 2026」を前に、3×3と5人制を対立ではなく、相互に高め合う選択肢として捉え直す機会となりました。
■ イベント概要
▪️開催背景:女性アスリートの競技機会とキャリアが直面する課題
現代の女子バスケットボール界において、選手の競技機会の確保や現役中・引退後のキャリア形成は重要な課題となっています。これまで5人制が主流を占める中、選手たちは限られた代表枠を争ってきました。
これに対し、近年急速に発展を遂げる「3×3」は、新たな可能性をもたらす競技として注目を集めています。2019年には女子の最高峰プロサーキット「3×3 Women’s Series」が創設され、2021年の東京オリンピックからは正式種目に採用されました。3×3は単に「もう一つの競技」が誕生したことを意味するのではなく、女性アスリートに国際舞台での新たな挑戦とキャリア形成の選択肢を提供し、既存の5人制クラブや女子バスケットボール市場全体を広げるための極めて重要な補完的フィールドとして位置づけられています
■ イベントの流れ
プログラムは、まず3×3という競技が女性アスリートにもたらす社会的な価値と選択肢の広がりを共有するセッションから幕を開けました。その後、国際バスケットボール連盟(FIBA)による制度面での裏付け、オリンピック金メダリストによる選手視点での成長実感、そして5人制クラブによる実践事例へと進み、競技の枠を越えた選手育成とキャリア形成の可能性が多角的に語られました。
FIBA 3×3 Women’s Seriesは、各国代表やクラブ、企業・都市を母体とするチームなどが世界各地を転戦する、女子3×3のプロサーキットです。2026年は東京を含む各都市で大会が組まれ、女子選手が国際舞台へ挑戦する機会を広げています。 こうした競技環境の変化を、選手だけでなくクラブや企業、地域とともに考えることが、本セミナーの背景にありました。
「『どちらか』ではなく『どちらも』」
このメッセージの通り、5人制と3×3は対立するものではありません。両方の舞台を行き来できる環境を整えることが、選手自身の可能性を広げるだけでなく、企業や地域、スポンサーにとっても新たな価値を生み出すと語りました。
■ アレックス・サンチェス氏:制度面から裏付ける「Gender Equity by Design(設計された男女平等)」
続いて、国際バスケットボール連盟(FIBA)3×3マネージングディレクターのアレックス・サンチェス氏が登壇し、FIBAが3×3においていかにして制度的・競技的に男女平等とキャリア形成をサポートしているかを説明しました。
サンチェス氏が強調したのは、「gender equity by design(設計段階からのジェンダー平等)」という理念です。3×3は、男女の大会を同じ会場、同じ形式、同じ時間帯で開催し、同等の露出を確保するように制度設計されています。さらに、オリンピックの3×3競技では、審判や運営スタッフを男女同数(パリティ)で配置する取り組みも示されました。
また、3×3は選手の「デュアルキャリア」を支援する形で設計されていることを紹介。
女子のプロサーキット「Women’s Series」は、5人制リーグのオフシーズンである「夏の間」に開催されるため、選手は冬は5人制、夏は3×3という両輪でキャリアを加速させることができると説明しました。実際に、東京オリンピックで3×3日本代表として活躍し、現在は5人制日本代表およびWNBAで活躍する山本麻衣選手の例を挙げ、3×3での挑戦が選手の価値を最大化させ、5人制クラブへの投資価値を高めるものであるとしました。
12秒という短いショットクロックの中で、試合中にコーチからの指示を仰ぐことなく、選手自身が瞬時に判断を下す環境。そして、コート上の全員が攻撃と守備の両方で責任を担う状況。グライナッヘル氏は、こうした経験が選手の主体性を育てると説明しました。3×3を「Basketball in its purest form(最も純粋な形でのバスケットボール)」と表現し、そこで磨かれる力が5人制にもつながることを伝えました。
より多くボールに触れ、より多く状況を読み、より多くの自信を得る。東野氏は「Basketball is One Game」という言葉を用い、両競技の往還がクラブ全体の競技力を引き上げる実践的なアプローチであることを示しました。
会場となったCIC Tokyoは、スタートアップをはじめとするイノベーションに携わる企業や組織が入居するイノベーションキャンパスであり、宇都宮市と東京圏の企業・人材をつなぐ「宇都宮市東京オフィス」も拠点を置いています。多様な立場や知見を結びつけるイノベーションハブであるここCIC Tokyoで、国際競技団体であるFIBA、競技クラブのコアラーズ、女性アスリートのソニア氏に加え、宇都宮市、JBA、USFをはじめとする普段は異なる領域で活動する多様なスポーツビジネス関係者がつながる女子バスケットボールの未来が議論が交わされました。
3×3と5人制を競合する別競技として捉えるのではなく、それぞれが選手の主体性や判断力を育み、キャリアの可能性を広げ合う補完関係にあることを示されました。単なるスポーツイベントにとどまらず、ジェンダー平等のあり方や、スポーツを起点としたイノベーション創出を考える機会ともなりました。