150名が参加した第3回目となるAsiaWise Legal Consultationは、第2回目の「英文契約書」の反響を受け、英文契約書をさらに掘り下げる回となりました。前回、セミナーでお答えしきれなかったご質問事項への回答に加え、実務のノウハウをわかりやすくAsiaWise法律事務所の久保弁護士と松村弁護士に解説していただきました。
今回は契約類型ごとのポイント解説、契約違反があった場合に関係する条項の解説、具体的な契約書をもとにしたレビューにおける、お二人の思考過程を見せていただきました。
冒頭、久保弁護士から英文契約書の英語を扱う際は、英会話とは全く別物と認識し、逆に英会話ができなくても英文契約書は読めるというマインドでスタートすることが良いとのアドバイスをいただきました。初心者であれば、実際に業務で使用する書面や、典型的な実務契約書から学んでいき、徐々に複雑な契約が扱えるようにレベルを上げていくのが適しているそうです。
最初のトピック、秘密保持契約(NDA)については、松村弁護士にご解説いただきました。
例えば、秘密保守範囲が社内共有に支障がない程度か見極めることや、共有する機密情報のレベルを考え契約終了期限を設けないことも可能であるなど、一見シンプルに見えて、よく考えるとしっかり考慮しなくてはいけないポイントが多い書面ということがわかりました。
久保弁護士には実際のNDAのテンプレートを条文ごとに一つ一つ説明していただき、一部の条項が大文字の英語で記されている理由や、鉤括弧の用法など、法律の専門家ではない方が疑問に思うような場所も丁寧にお答えいただきました。また、不正競争防止法に相当する法規がない国もあるので、クロスボーダー案件では特にNDAは注意して結ぶべきとのことでした。
売買契約や代理店契約書に関しても、抑えるべきポイントを教えていただきました。売買契約に関しては、対象の特定、代金の支払い、引き渡しの危険負担などに関し、トラブルを避けるためのコツなどをお話いただきました。
英文契約書に必ずと言ってもいいくらいある補償条項(indemnity)にも今回触れていただき、第2回目のセミナーと合わせると、包括的に英文契約書の基礎を学ぶことができました。
特に、終盤には「交渉のマインドチェンジ」として、契約書の内容を交渉するときに大事なポイントを挙げられました。特に印象的だったのが、「交渉は特別なスキルを必要とするものでなく、マインドセットであり、交渉が上手な人は生き方が上手な人」と述べられ、契約書に苦手意識がある方にとって、大きな励みになったのではないでしょうか。
セミナーの一部ではCIC Tokyoディレクターの名倉より、国内最大級のスタートアップ集積拠点CIC Tokyoのご紹介をする時間も設けていただきました。
今回も多くの方に視聴いただいたAsiaWise法律事務所の legal consultation。CIC Tokyoの入居者の皆様にもご視聴いただき、日々のビジネスに生かしていただいております。ご視聴された際は、ぜひ積極的にご質問、アンケートへお答えいただき、久保弁護士に直接質問できるこのセミナーの機会を最大限にご活用いただければと思います。
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